「FP3級の勉強をしているけど、老齢年金が分からない!」
「FP3級の老齢基礎年金とか老齢厚生年金って何が違うの?」
FP3級の勉強を始めたばかりの方は、何から覚えればよいのか分からずに困っている方も多いでしょう。
僕も1つずつ整理するまでは、何が何だかわからずに大変だったよ…
本記事では、FP3級で覚えておきたい内容に絞って、老齢年金の内容をわかりやすく解説していきます。
老齢年金である「老齢基礎年金・老齢厚生年金の違い」が分からずに悩んでいる方は、本記事でしっかりと理解しましょう。
先に全体像を理解しておくと、どこの分野を勉強しているかわかりやすくなるからおすすめですよ!
1つ前の記事で全体像を解説しているから、見てみてね!
【FP3級】老齢年金とは?
老齢年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つに分かれています。
老齢基礎年金 | 老齢厚生年金 |
---|---|
国民年金(第1・2・3号被保険者が加入)から支給される | 厚生年金(第2号被保険者が加入)から支給される |
【FP3級】老齢年金①老齢基礎年金
老齢基礎年金は、国民年金(第1・2・3号被保険者が加入)から支給される老齢給付です。
老齢基礎年金について、以下の3つを解説していきます。
- 老齢基礎年金の受給資格期間
- 老齢基礎年金の年金額
- 老齢基礎年金の付加年金
FP3級の老齢基礎年金の分野では、特に付加年金が出題されやすいので覚えておきましょう!
老齢基礎年金の受給資格期間
老齢基礎年金の受給資格期間とは、老齢基礎年金を受け取るために満たす必要がある期間のことです。
以下の式の計算結果が10年以上であれば、老齢基礎年金を受け取ることができます。
保険料納付済期間 + 保険料免除期間 + 合算対象期間(カラ期間)
それぞれの用語の意味は、以下の通りです。
用語 | 簡単な説明 |
---|---|
保険料納付済期間 | 第1・2・3号被保険者として保険料を納付した期間 |
保険料免除期間 | 第1号被保険者の国民年金で免除・猶予された期間 |
合算対象期間(カラ期間) | 国民年金に加入していなかった期間 (年金の支給額に影響は与えない) |
上の2つは「納付済」「免除」とか書いているから、そのまま意味がわかるね!
でも、合算対象期間ってなんやねん!
昔は、国民年金の加入が任意だったんだよ。
任意加入のときに、加入していなった期間は「カラ期間」になるわよ。
FP3級の2018年の試験では、「10年以上」の部分が問われていたから覚えておこう!
参考:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構
参考:受給資格期間|日本年金機構
参考:年金を受け取れる期間が10年になりました|厚生労働省
老齢基礎年金の年金額
老齢基礎年金の年金額は、以下の式で計算します。
老齢基礎年金の満額 × (保険料の納付月数 + 各免除に応じた月数) / 480ヶ月(40年)
老齢基礎年金の満額は、年によって変わるよ!
また、老齢基礎年金の年金額の計算式にある「各免除に応じた月数」は、免除月数に以下の倍率をかけて計算します。
免除 | 倍率 |
---|---|
全額免除月数 | 1/2 |
3/4免除月数 | 5/8 |
半額免除月数 | 3/4 |
1/4免除月数 | 7/8 |
ちなみに、平成21年3月分までの免除期間については、全額免除は「1/3」、3/4納付は「5/6」、半額納付は「2・3」、1/4納付は「1/2」となっています。
FP3級の老齢基礎年金では、それぞれの倍率を覚える必要はないよ!
また、学生納付特例期間・合算対象期間・納付猶予期間は、年金額の計算に反映されない点に注意しておきましょう。
黄色のアンダーマーカーの部分は、FP3級の試験で出題されていたので、余裕がある方は覚えておきましょう。
参考:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構
老齢基礎年金の付加年金
老齢基礎年金では、第1号被保険者または任意加入被保険者が利用できる「付加年金」という制度があります。
- 定額の国民年金保険料に、付加保険料(月400円)を追加で納める
- 受け取れる老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」が付加年金としてプラスされる
これは付加年金を払ってお得になるのか…?
40年間付加保険料を払った場合を考えてみたらいいんじゃない?
40年間付加保険料を払った場合を想定してみます。
支払額:月400円 × 480ヶ月(40年×12) = 192,000円
受取額(1年間):200円 × 480ヶ月(40年×12) = 96,000円
おお!たった1年で支払った金額の半分が返ってくるんだ!
そういうこと。
だから2年間付加年金を受け取れば、元は取れるわね。
参考:付加年金|日本年金機構
【FP3級】老齢年金②老齢厚生年金
老齢厚生年金は、厚生年金から支給される老齢給付です。
老齢厚生年金には、以下の2種類があります。
特別支給の老齢厚生年金 | 老齢厚生年金 |
---|---|
60歳から64歳までに支給される | 65歳以上に支給される |
老齢厚生年金は法律の変更によって、受給できる年齢が60歳から65歳になりました。
ええ!5歳も引き上げられたのか…
老齢厚生年金の受給開始年齢の引き上げ
昭和60年に法律が改正されて、老齢厚生年金の受給年齢が60歳から65歳に上がりました。
突然引き上げられると混乱しちゃうから、「特別支給の老齢厚生年金」で徐々に受給開始年齢を引き上げていくんだね!
特別支給の老齢厚生年金は、「報酬比例部分」と「定額部分」で構成されています。
生年月日や性別によって、定額部分の受給開始年齢が上がっていき、次に報酬比例部分の受給開始年齢が引き上げられていきます。
最終的に以下の年齢の方は、特別支給の老齢厚生年金を受け取れなくなります。
男性 | 女性 |
---|---|
昭和36年4月2日以降から完全に受け取れなくなる | 昭和41年4月2日以降から完全に受け取れなくなる |
老齢厚生年金の受給要件
老齢厚生年金の受給要件は、以下の通りです。
2014年からは、FP3級の老齢厚生年金で問われていないよ!
老齢厚生年金の受給要件の1ヶ月が問われていました。
余裕がある方は覚えておきましょう!
参考:老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構
参考:年金の支給要件と年金額|厚生労働省
老齢厚生年金の年金額
老齢厚生年金の年金額は、とてもややこしいので、余裕がある方は見ておこう!
特別支給の老齢厚生年金の年金額
定額部分と報酬比例部分を合わせた金額が老齢厚生年金の年金額になります。
さらに、一定の要件を満たした配偶者がいる場合は、加給年金が加算されます。
計算式にすると、以下の通りです。
定額部分 + 報酬比例部分 (+ 加給年金) = 特別支給の老齢厚生年金
報酬比例部分は、平成15年3月以降・以前に分けて計算するよ!
計算式の用語 | 具体的な計算方法 |
---|---|
定額部分 | 1,701円 × 生年月日に応じた率 × 被保険者期間の月数(昭和31年4月2日以後生まれの方) 1,696円 × 生年月日に応じた率 × 被保険者期間の月数(昭和31年4月1日以前生まれの方) |
報酬比例部分① | 平均標準報酬月額 × 生年月日ごとの乗率(7.125〜9.500) / 1000 × 平成15年3月以前の加入月数 |
報酬比例部分② | 平均標準報酬額 × 生年月日ごとの乗率(7.125〜9.500) / 1000 × 平成15年4月以後の加入月数 |
2009年のFP3級の問題では、平均報酬月額・平均報酬額の違いが問われていたわよ!
平均標準報酬月額は、平均月収のこと!
平均標準報酬額は、賞与を含む平均月収のことだよ!
近年のFP3級の試験では問われていないから、難しいと感じる方はスルーしてもいいわよ。
参考:定額部分|日本年金機構
参考:報酬比例部分|日本年金機構
老齢厚生年金の年金額:経過的加算
65歳になると、定額部分が老齢厚生年金になり、報酬比例部分が老齢基礎年金に変わります。
老齢基礎年金の額よりも定額部分の方が金額が大きくなるため、差を補う「経過的加算」が用いられます。
加給年金
加給年金は、条件を満たしている配偶者や子供がいる場合に支給される年金です。
加給年金の受給要件は、以下の通りです。
- 厚生年金の加入期間が20年以上あること
- 65歳未満の配偶者または18歳到達年度末日までの子(20歳未満で障害者等級1級又は2級の子)がいること
加給年金の受給要件は、FP3級の試験でよく問われているよ!
特に20年以上と65歳未満は、必ず覚えておこう!
65歳になると奥さんも老齢基礎年金がもらえるから、65歳未満まで!という覚え方がおすすめよ!
また、配偶者が65歳になり、加給年金が停止された場合、配偶者の生年月日に応じた金額が老齢基礎年金に加算されます(振替加算)。
参考:加給年金額と振替加算|日本年金機構
参考:振替加算を受けられるようになったとき|日本年金機構
参考:加給年金額を受けられるようになったとき|日本年金機構
在職老齢年金
在職老齢年金とは、60歳以降に在職している状態で受ける老齢厚生年金のことです。
賃金や年金額に応じて、年金額の一部またはすべてが支給停止されます。
令和4年3月以降は、以下の2つに分けられています。
①基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円以下の場合
全額支給
②基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円を超える場合
基本月額 – (基本月額 + 総報酬月額相当額 – 50万円) ÷ 2
50万円の部分は、令和6年度の支給停止調整額だよ!
2019年のFP3級の問題で出題されているわね。
でも、難しい方はスルーしていいわよ。
参考:在職老齢年金|日本年金機構
参考:在職老齢年金の計算方法|日本年金機構
【FP3級】老齢年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、繰り上げ受給と繰り下げ受給の2種類があります。
FP3級の老齢年金の分野でよく問われるから確認しておこう!
繰り上げ受給 | 繰り下げ受給 | |
---|---|---|
受け取るタイミング | 65歳より前 | 65歳より後 |
年金額の変動 | 繰り上げた月数 × 0.4%を減額 | 繰り上げた月数 × 0.7%を加算 |
老齢基礎年金と老齢厚生年金 | 同時 | 別々 |
老齢年金の繰り上げ受給
老齢年金である老齢基礎年金と老齢厚生年金は、65歳から受給できます。
しかし、老齢年金の繰り上げ受給を利用すれば、65歳よりも前から受け取ることができます。
繰り上げ受給の覚え方は、「お尻(0.4%)を上げる」がいいな!
ま、まあなんでも覚えられたらいいと思うわよ…
老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰り上げを同時に行うのか…
繰り上げしたらもらえる金額も減るし、一緒に繰り上げしないといけない。「早く年金をもらう人には厳しい!」って覚え方でいいか…
老齢年金の繰り下げ受給
老齢年金の繰り下げ受給を利用すれば、65歳よりも後から受け取ることができます。
繰り上げ受給は、「お尻を上げる」で覚えたから、繰り下げ受給は、長く預ければ多く貰える利子と同じイメージする覚え方がいいかな…
それじゃあ0.7%が覚えられないんじゃ…
「お尻(0.4)を上げて、お腹(0.7)を下げる」って覚え方がいいんじゃない?
たしかに!天才だ!
それで覚えよう!
【FP3級】老齢年金の過去問を解いてみよう!
ここからは、老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)で出題されたFP3級の過去問を解いていきます。
知識の定着には、やっぱり問題を解くことが大事だね!
FP3級:老齢年金の過去問①
60歳0カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をし、支給開始を60カ月繰り上げた場合、老齢基礎年金の減額率は( )となる。
- 24%
- 42%
- 60%
出典:日本FP協会 3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2024年5月
答え:1
FP3級の老齢年金の繰り上げ受給では、以下の3つが重要です。
- 繰り上げ受給は65歳よりも前から受け取れる制度
- 繰り上げ受給は、繰り上げた月数 × 0.4%が老齢厚生年金から減額
- 老齢厚生年金の繰り上げを行う場合は、老齢基礎年金と同時に行う必要がある
今回は、老齢年金の繰り上げ受給なので、「繰り上げた月数 × 0.4%」を使用します。
きた!
「お尻(0.4)を上げて、お腹(0.7)を下げる!」
60ヶ月 × 0.4% = 24%となるため、答えは1です。
FP3級:老齢年金の過去問②
老齢厚生年金の繰下げ支給の申出は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出と同時に行わなければならない。
出典:日本FP協会 3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2022年5月
答え:×
FP3級の老齢年金の繰り下げ受給では、以下の3つが重要です。
- 繰り下げ受給は65歳よりも後から受け取れる制度
- 繰り下げ受給は、繰り下げた月数 × 0.7%が老齢厚生年金に加算
- 老齢厚生年金の繰り下げを行う場合は、老齢基礎年金と別々に行える
繰り下げ受給は、老齢基礎年金と別々に行えます。
早く年金がもらえる繰り上げは厳しいから、一緒に行う必要があるんだったね!
【FP3級】老齢年金のまとめ
本記事では、FP3級の老齢年金に関する内容をわかりやすく解説しました。
老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類がありました。
また、老齢年金の繰り上げ受給・繰り下げ受給は、FP3級の試験でも問われやすいため、優先的に覚えておくことがおすすめです。
しっかり見直して知識を整理しよう!
老齢年金の分野をマスターして、PF3級の試験に合格しましょう!