「FP3級の遺族年金が覚えられない!」
「遺族基礎年金とか遺族厚生年金ってなに?」
FP3級の勉強を始めたばかりの方は、遺族年金の範囲が覚えられずに困っている方も多いでしょう。
僕もFP3級の勉強を始めた時は「遺族年金ってなに?」って状態でした…
本記事では、FP3級に出てくる内容を重点的に、遺族年金の範囲をわかりやすく解説していきます。
遺族基礎年金・遺族厚生年金に加えて、寡婦年金・死亡一時金・中高齢寡婦加算などもわかりやすく紹介しているので、参考にしてください。
また、FP3級の遺族年金の分野で出題された過去問も解説しているので、勉強の際に役立ててくださいね。
【FP3級】遺族年金とは
遺族年金は、被保険者(年金に加入している方)または被保険者であった方(年金を受け取っている方)が亡くなったタイミングで、その方に生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。
今までに国民年金・厚生年金に加入していた人ならOKなんだね!
また、遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つに分けられます。
参考:遺族年金|日本年金機構
参考:[年金制度の仕組みと考え方]第13 遺族年金|厚生労働省
【FP3級】遺族年金①遺族基礎年金
FP3級に出てくる遺族年金の1つ目として、遺族基礎年金があります。
遺族基礎年金は、国民年金の1つです。
遺族基礎年金に関して、以下の3つの内容をわかりやすく解説していきます。
- 遺族基礎年金をもらえるタイミング
- 遺族基礎年金を受給できる人
- 遺族基礎年金の年金額
遺族基礎年金をもらえるタイミング
遺族基礎年金がもらえるタイミングは、以下の4つです。
- 国民年金の被保険者期間に死亡したタイミング
- 日本国内に住所があり、国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満の方が死亡したタイミング
- 老齢基礎年金の受給資格がある方が死亡したタイミング
- 老齢基礎年金の受給資格を満たしていた方が死亡したタイミング
1と2は、保険料納付済期間が国民年金加入期間の2/3以上あることが条件です。
また、3と4は、合算対象期間を合算した期間が25年以上あることが条件です。
もらえるタイミングなどについては、FP3級の遺族年金で問われることはほとんどないよ!
遺族基礎年金を受給できる人
遺族基礎年金を受け取ることができる人は、死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族です。
- 子のある配偶者
- 子
子とは、18歳になった年度の3が31日までの方または、20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の方を指します。
参考:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
遺族基礎年金の年金額
遺族基礎年金の年金額は、以下の計算式で表されます。
老齢基礎年金 + 子の加算額
参考:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
【FP3級】寡婦年金・死亡一時金
遺族基礎年金の寡婦年金
遺族基礎年金には、寡婦年金というものがあります。
「寡婦(かふ)」っていうのは、夫と離婚・死別して、再婚せずに独身のままでいる女性のことだよ!
寡婦年金は、夫が年金を受け取らずに亡くなった際に、妻に支給される年金のことです。
項目 | 寡婦年金の詳細 |
---|---|
被保険者の条件 | 第1号被保険者として、保険料納付済期間と保険料免除期間が合わせて10年以上あること |
受け取る人の条件 | 亡くなった夫と10年以上の婚姻関係にあり、夫に生計を維持されていた妻 |
寡婦年金をもらえる期間 | 妻が60歳から65歳になるまで |
支給される金額 | 老齢基礎年金額の3/4 |
夫が何年も保険料を払い続けたのに、年金がもらえないのはかわいそうだもんね…
参考:寡婦年金|日本年金機構
遺族基礎年金の死亡一時金
遺族基礎年金には、死亡一時金という制度があります。
死亡一時金は、第1号被保険者が年金を受け取らずに死亡した場合に、遺族に対して支給されるお金のことです。
項目 | 死亡一時金の詳細 |
---|---|
被保険者の条件 | 第1号被保険者として、保険料納付済期間が3年以上あること |
受け取る人の条件 | 亡くなった方に生計を維持されていた配偶者や子など(遺族基礎年金などを受け取れない場合) |
支給される金額 | 保険料納付済期間に応じた金額 |
死亡一時金と寡婦年金のどちらも受け取れる場合は、どちらか一方を選択する必要があります。
どっちも一緒に受け取ることはできないよ!
FP3級の問題で、死亡一時金と寡婦年金の同時受け取りが問われていたわよ!
参考:死亡一時金|日本年金機構
【FP3級】遺族年金②遺族厚生年金
FP3級で学ぶ遺族年金の2つ目は、遺族厚生年金です。
遺族厚生年金は、厚生年金の1つです。
遺族厚生年金に関して、以下の3つをわかりやすく解説していきます。
- 遺族厚生年金をもらえるタイミング
- 遺族厚生年金を受給できる人
- 遺族厚生年金の年金額
遺族厚生年金をもらえるタイミング
遺族厚生年金をもらえるタイミングは、以下の5パターンです。
- 厚生年金保険の被保険者期間に死亡したタイミング
- 厚生年金の被保険者期間の病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡したタイミング
- 1級・2級の障害厚生年金を受け取っている方が死亡したタイミング
- 老齢厚生年金を受け取る権利があった方が死亡したタイミング
- 老齢厚生年金の受給資格を満たしている方が死亡したタイミング
1と2は、保険料納付済期間が国民年金加入期間の2/3以上あることが条件です。
また、3と4は、合算対象期間を合算した期間が25年以上あることが条件です。
参考:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
遺族厚生年金を受給できる人
遺族厚生年金を受給できる人は、以下の遺族です。
- 子のある配偶者
- 子(18歳になった年度の3が31日までの方または、20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の方)
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫(18歳になった年度の3が31日までの方または、20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の方)
- 祖父母
上記の中から、最も優先順位が高い方が遺族厚生年金を受け取れます。
遺族基礎年金と違って、受け取れる範囲が広いんだね!
なかなか手厚いサポートだ…
受け取れる人の範囲は大きいけれど、兄弟や姉妹は受け取れない点を覚えておきましょうね。
遺族厚生年金の覚え方は、「手厚い」から受け取れる範囲が広い!
また、遺族基礎年金を受給している方も、遺族厚生年金を受け取ることが可能です。
参考:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
遺族厚生年金の年金額
遺族厚生年金の年金額は、以下の計算式で表されます。
老齢厚生年金の報酬比例部分 × 3/4
参考:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
【FP3級】中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算
遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算という制度があります。
項目 | 中高齢寡婦加算の詳細 |
---|---|
被保険者の条件 | 死亡した夫の被保険者期間が20年以上(20年未満でも特例あり) |
受け取る人の条件 | 亡くなった夫と10年以上の婚姻関係にあり、夫に生計を維持されていた妻 |
中高齢寡婦加算をもらえる期間 | ・40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子がいない妻 ・子のある場合でも40歳以上65歳未満で遺族基礎年金を受け取れていない妻 |
支給される金額 | 遺族厚生年金に年額612,000円が加算 |
中高齢寡婦加算は、FP3級の問題で定期的に出てきているよ!
特に「中高齢寡婦加算をもらえる期間」がよく問われているわよ。
65歳以上になったら、妻は老齢基礎年金がもらえるから、中高齢寡婦加算はなくなります。
参考:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
遺族厚生年金の経過的寡婦加算
また、遺族厚生年金には、経過的寡婦加算という制度もあります。
中高齢寡婦加算の受給が終了して、妻の老齢基礎年金に切り替わる際に、減少する年金額を補うための制度です。
ここはFP3級の問題で問われづらいからスルーしてOK!
参考:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
【FP3級】遺族年金の過去問を解いてみよう!
FP3級:遺族年金の問題①
遺族基礎年金を受給することができる遺族の範囲は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす( )とされる。
- 子のある配偶者、子
- 子のある妻、子
- 子のある配偶者、子、父母
出典:日本FP協会 3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2024年5月
FP3級:遺族年金の問題②
遺族厚生年金を受給することができる遺族の範囲は、厚生年金保険の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす配偶者、子、父母、孫、祖父母である。
出典:日本FP協会 3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2023年5月
答え:〇
遺族厚生年金を受給できる人は、以下の遺族でした。
- 子のある配偶者
- 子(18歳になった年度の3が31日までの方または、20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の方)
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫(18歳になった年度の3が31日までの方または、20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の方)
- 祖父母
遺族厚生年金は、「手厚い」って覚えるんだったね!
兄弟や姉妹が含まれていない点に注意しておきましょうね。
FP3級:遺族年金の問題③
厚生年金保険の被保険者である夫が死亡し、子のない45歳の妻が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、妻が75歳に達するまでの間、妻に支給される遺族厚生年金に中高齢寡婦加算額が加算される。
出典:日本FP協会 3級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験2023年1月
答え:×
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算は、妻が40歳以上65歳未満の間に受け取れるものです。
そっか!65歳になると、妻の老齢基礎年金が受け取れるようになるんだったね!
【FP3級】遺族年金のまとめ
本記事では、FP3級に出てくる内容を重点的に、遺族年金についてわかりやすく解説しました。
遺族年金には、遺族基礎年金・遺族厚生年金の2種類があります。
また、寡婦年金や死亡一時金、中高齢寡婦加算などは、FP3級の問題でも問われる場合があるので、しっかり復習しておきましょう。
忘れている部分がないか、もう一度確認しておこう!
遺族年金をマスターして、FP3級の試験に合格しましょう!